【ぶくぶく】

-P1-



そうだった。



人魚姫は想いが成就しないと、
海の泡となって消えちまうんだったな。


それでも愛に生きた彼女に、
おれは敬意を払うよ。



* * * * *



「恋の奴隷なんだおれは!!」

ホントにウソップの言うとおり、
自分で言ってりゃ世話ァねェな、とは思う。

だけどしょうがないだろ、事実なんだから。



迷子の迷子のマリモちゃんを見送ったあと、
おれは船のメンテナンスを終えたウソップとフランキーの野郎二人とで、
不本意ながらもゆったりとしたティータイムをすごしていた。

ああ、ここにナミさんがいたらなァ。

そんなふうに上の空でいたら、
ふいにウソップがさっきの話を蒸し返してきた。

「それにしたってお前、ナイトは言いすぎだな、ナミのやつ。」

「なに言ってんだこのクソ鼻野郎!!ナイトと言ったらおれ、
おれと言ったらナイトだろうが!!!」

「あーはいはい、恋は盲目とはよく言ったも」

「あ―――――!!!!」

「ウオッ!なんだよ急に!!」

お得意の嫌味の途中で急に上がったおれの大声に、
ウソップは鼻をたらして驚いている。

いやいやいや、驚いたのはおれのほうだ。

なんでああ言われてその場で気づかなかったんだ。



ナミさんはおれのこと、確かに“ナイト”と呼んだんだぜ・・・?



「おれちょっと街に出る!ナミさんの大事なお宝たのんだぞ!!」

「えええっ!?おれたちにゃ荷が重い〜・・・」

震え上がる二人の情けない声を背中で聞きながら、
おれはサニー号からひらりと飛び降りた。

そうして、風の速さでかけてゆく。



早く早く、もっと早く!



一刻も早く、女神の元へ!!




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