【CAT&DOG(S)】
-P1-
ああ、まったくもって、
看板に偽りなしとはこのことだよ。
* * * * *
別に、女が嫌いなわけじゃねェ。
いや、むしろ好きだからこそ、
自分を大事にしてほしいんだ、おれァよ。
だのにおれがこう言おうもんなら、
お前は猫みたいにつりあがった目をしてにらむだろ?
「服を着ろ!ハレンチ娘!!」
・・・・・・な?
おーこえェこえェ。
だけど、今日は様子が違う。
さっきから、おれの向かいでテーブルにひじをつき、
心なしか潤んだ瞳でおれをまっすぐ見つめてる。
なんだよ・・・急に始まったこの宴で、
酒が入ったからなのか?
それに、服を着ろとおれが言ったからかは知らねェが、
気づくと水着の上から気持ち程度にシャツをはおってやがる。
・・・可愛いとこあんじゃねェか。
「なに見てる」
じっと見つめるその瞳にたまりかねて口を開くと、
娘はゆっくりとおれの方に腕を伸ばし、おれの手を握った。
「・・・・・・・!!」
自分でも顔がみるみる紅潮していくのがわかる。
あからさまに動揺したおれが何も言えずにいると、
娘はおれの手を自分の口元に持っていく。
そして、大工仕事でぼろぼろのおれの人差し指を、口に含んだ。
「お、おい・・・!」
それ以上声がでない。
すると娘は、ついてる、と言って、
おれの手にまとわりついてる水水肉の油を、
ゆっくりと舌を使って舐めとってゆく。
おれは人形みたいに固まって、動けない。
顔はすっかりゆだっちまって、痛いくらいだ。
人差し指からはじまったこの急な愛撫が小指の先に届く頃、
あらぬところが固まりそうにり、やっとの思いで声をだす。
「やめ・・・」
ヤメロ、言葉だけそう言いかけてふと、
さっきまでまっすぐおれを捕らえていた娘の視線が、
忙しないことに気づく。
おれは、なんの気なしに、その視線を追ってみた。
・・・なんだよ、そういうことか。
その猫の目の先には、
女にドリンクを配って、
くるくると動き回っている金髪の男。
あいつはなぜか、半裸だなァ。
てことは、そのシャツもあいつのか。
そんなことをぼんやり思いながら、
おれは娘の腕をきつくつかんで、
すっくと立ち上がった。
急にひっぱり上げられた猫の瞳はまん丸で、
おれはとんだかませ犬だ。
だけど、犬は噛みつくんだぜ・・・?
NEXT→
←BACK
TEXT TOP