【CAT&DOG(S)】

-P3-



「おい!!!」

娘が門扉に消えるのを見送ったあとも立ち上がれずにいたおれは、
背後からかけられた声に思わず肩を揺らす。

「・・・・あァ・・・お前ェか」

おれが痛むあごをおさえつつ、
ゆっくり振り向くとそこには、
息を弾ませた金髪の男。

「彼女はどこだ!!」

「かのじょォ?・・・あのオレンジ色のメス猫のことか」

「メ・・・・!?おめェはレディに向かってなんちゅーいいぐさだ!!」

「は・・・ッレディとはよく言ったもんだぜ」

「はぐらかすな!彼女がお前といたところを見たヤツがいんだよ!!」

「そいつの目は節穴だ。おれァひとりだよ」

見りゃわかんじゃねェか、と、ひとにらみすると、
男は負けじとにらみ返し、すごむ。

「じゃあ彼女はどこにいるってんだ・・・!
お前、変なことしてねェだろうな!!」

「はは・・・」

変なことされたのは、おれの方かもな
・・・・とは言わず、腫れてきたあごで門扉を指して言う。

「あっちの方へ走っていったぜ」

「なにィ!?やっぱり一緒にいやがったのか!?」

男はおれと門扉と交互に見やり、
一瞬おれになにか言いたそうな表情をみせたが、
結局娘を探しに行くことを優先したらしい。

「クソ・・・こうしちゃいらんねェ、彼女は水着なんだ!おれがガードしないと・・・
いいかおっさん!彼女にだけは手ェ出すんじゃねェぞ!?」

吐き出すように言い残して男は、
娘の名前を叫びながら、
つむじ風と共に門扉の奥へ消えていった。

その男の後ろ姿には、
ぶんぶん振られる尾っぽが見えた気がしたが・・・
気のせいだろう。



おれは酒でもあおろうと、
やれやれと立ち上がってふと気づく…



ウォレットチェーンの先がない。



今度こそ確信をこめて叫んだ。



「あんのォ――――」



* * *



それから数日後、
おれは娘の手配書を見ることになる。

まったく、
看板に偽りなしとはこのことだぜ。



盗まれたのは、

財布と・・・



・・・



ったく、

あの・・・・・・・



泥棒猫!!!







END
2008/9



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