【花火花】

-P1-



「ナミさん、花火みてェだな」

彼がいう。

「誰が美しく散るのよ!」

私は答える。



ホントは、答える余裕なんてないのに。



* * * * *



とにかくめでたい今宵、
私は町医者のドクターのところにいた。

やっと忌々しいこの刻印を消すことができる。

長かった私の静かなる戦いは、
大変にけたたましく終わりを告げた。



私はもう、自由なのだ。

この腕に新たに何を刻もうと、

何のためにお金を使おうと、

誰とともにこの海を渡ろうと。



私はこのとき、早く、
一刻も早く、
この体に染み込んだ汚れを
拭い去りたかったんだと思う。



生まれ変わった私は宴会には参加せず、
一人ベルメールさんの畑にいた。

無性にみかんが食べたくなったからなのだけど、
片手にはいつの間にかみかんではなく、
酒瓶を握り締めていた。




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