【砂漠のイチゴ】
-P9-
彼はそのまま布団と枕の山に倒れこみ、
そこらじゅうに羽が舞い散った。
「なんでそーなるのよ!!」
私にはまだ理性があったようで、
隣の寝室を意識して低く怒鳴った。
「だって・・・」
彼はいてて、と起き上がり、
叱られた子供みたいに口を尖らせる。
確かにあそこで止めた私は鬼よね。
だけど、その顔は卑怯だわ、
罪悪感が増すじゃない。
そんな私に気づくことなく、彼は続ける。
「だってナミさん、おれは、ナミさんが好きだ」
「な!?なによ急に!」
急に真剣な瞳を向けられて、
わずかに残っていた理性は消え去り、
私は声を落とすのを忘れてしまった。
「おれはナミさんが大好きで、
おれだけを見ていてほしくて・・・
だからいつだって嫉妬してる」
「・・・は?」
「ナミさんが笑いかけるルフィや、ゾロや、ウソップや、チョッパーに」
「マツゲやハサミにも嫉妬したな」
「な・・・」
「もっと言えば、さっきまでナミさんに直に触れていた、
そのパジャマにだって嫉妬してたよ」
「はあ!?ばっかじゃない!?」
「あぁ、ばかだよ。
おれは、“ナミさんばか”だ」
「いつだって、嫉妬という名の毒におかされて、
その毒が全身にまわって死んでしまうかと思っていたよ!」
「・・・ばぁか」
いつものばかみたいな台詞なのに、
なぜか私は胸がきゅっとなって、目を伏せた。
「ばかでいいよ」
「それでナミさんに触れていられるなら、
その間は嫉妬しないですむから」
* * *
まず、ビビに謝ろう。
今思うと無意識にだけど、
少し冷たくしてしまったことがある。
私のなんて、嫉妬なんていえなかったわね。
だけど、
今日、
今から先は覚悟してもらうわ。
ビビだけじゃなく、世の女ども!
彼に優しくされたら、命はないと思いなさい!!
感染型の毒に侵された私を、甘くみないことね。
嫉妬に狂い死ぬのは、
私か、
それともあんたか。
・・・心中って手もあるわね。
END
2008/8
←BACK
TEXT TOP