【砂漠のイチゴ】

-P8-



私を横抱きにして移動する間、
彼は前だけを見て、
一度も私に視線を落とすことはなかった。

まるで視線の先を固定されているかのように、
その先で“欲望”が誘導しているかのように。



私たちは寝室に隣接する布団部屋のようなところに移動してきた。

そうして少しだけ冷静さを取り戻すと、
夏の終わりの向日葵のように、
私の中で疑問がこうべを垂れる。



なんで私は彼に抱かれるの?

自分だけのものにしたいの?

寝たからって私のものになるっていうの?



私は彼を・・・・・・・?



寝室よりもさらに薄暗い部屋に、
かろうじて布団が積まれているのが見える。

疑問の答えは出ないまま、
その布団と羽枕の山の合間に、
私はそっとおろされた。

そして積まれた布団に寄りかかるように体制をなおしたとたん、
着ているパジャマを剥ぎ取られ、彼もそれを脱ぎ捨てる。

そのまま彼は“おあずけ”を食らっていた犬のように、
私の胸元にかぶりついてきた。



私、これでいいの・・・?



頂をころがされ、体がのけぞる。

心とは裏腹に、私は潤いをましてゆく。

「ナミさん、夢みてェだ・・・」

そんな泣きそうな声出さないで・・・
答えが遠ざかるわ。

「入れるよ」

「!」

それも宣言なの!?

私ははっとして、きっぱりと言った。

「待って!!」

さっきまでうつろだった私の口調が一変したのに気づき、
彼は荒い息はそのままに、動きだけを止める。

「ナミさん・・・?」

「ごめんね・・・サンジ君」

「え・・・?」

またも“おあずけ”を食らったサンジ君は、
懇願するような瞳で私をみつめる。

「私ね・・・私・・・」

言葉にしようとしてちょっと悔しい気持ちになったけど、
ちゃんと伝えることにした。

「私、嫉妬してたみたいよ?
 ・・・ビビに・・・」

「しっと?」

「そう、ジェラシー」

「普段あんなに邪険にしといて、
 自分から離れていくかもって思ったとたん
 受け入れるなんて・・・ひどい話よね」

「シット・・・」

「そうよ!悪い!?」

あんまり繰り返すんじゃないわよ!
暗い部屋でも見えるんじゃないかってくらい、
自分の頬が赤らむのがわかる。

彼は小首をかしげ、少し間をおいて私に聞いた。



「・・・ナミさん、もしかしておれのこと・・・好きなの?」



今度は阻まれることなく、
私の右手は彼の頭部を直撃した。




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