【夢から覚めた夢】

-P1-



夢をみていた。

大きな揺りかごに揺られて眠る夢。

・・・もう、目を開けてもいいかしら。



* * * * *



もちろん知ってたけど。

彼が私を好きだってことくらい。

だけど、

彼には悪いけど、

彼の普段の言葉たちは私の深いところには
届いていなかったみたいで。

実際、今こんなに動揺している私がいる。

聞きなれてる調子の言葉たちなのに、
“私がいないとき”という、
シチュエーションってだけで・・・



「ナミさんを消す気だな!!?渡さねェぞ!!!」

「ごめんな、おれのこの血で純白のドレスが・・・
汚れちゃいけねェから」



ホント、ばか。

人様の前で、こんな台詞はいちゃって、
あんた恥ずかしくないの!?

私が気を失っていると思って、調子乗ってんの!?

さっきから目を開けるタイミングがわからないっつーの!

そんなことを考えていたら、
ふいにいつもの香りに包まれて、 きつく抱きすくめらていることに気がついた。

いつもの…タバコと柑橘系の香水の混じった香りで、 私は深い安心感を覚える。

彼曰く、香水は私の大好きなみかんの香りを意識しているらしいけど。

そして耳元で、低い低い、掠れた声が聞こえた。


「死ぬかと思った・・・」



・・・もう、目を開けてもいいかしら。



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