【青いイチゴ】

-P3-



「そういえば、昨晩はどこにいってたんだい?」

王宮を並んで歩きながら、
彼が私に問いかける。

「私がベッドにいなかったことに・・・?」

「ああ、気づいたよ。ほかでもないビビちゅわんのことだからね!!」

目をハートにして上気した顔を向ける彼に、
私は逆に少しだけ体温を下げる。

「ちょっと一人になりたくて、別室で休みました」

「そうだったのか!あいつらときたら、寝ているときもやかましいからね!」

ごめんね?と私の方に首をかしげるあなたは、
なんだか愛らしくて、本当に、残酷。

私が部屋を出た本当の理由をあなたに言ったら、
今度はどんな顔を見せてくれるの?

あなたのどんな表情でも見てみたい私は、
そんな欲求に抗って彼に見えないように唇をかんだ。



「こちらに、サンジさん」

扉の隙間から光の射し漏れる部屋の前に彼をいざなう。

「なんだい?この部屋は・・・」

言葉途中の彼を無視するかたちで、
私はその部屋の重い扉を開いた。

「お・・・わあ・・・」

彼が言葉ともつかない声を出し、
くわえていたタバコは床に落ちる。

「きれいでしょ?サンジさんに、見せたくて」

私はなにげなく彼の名を強調して言ったのだけれど、
そんなことに気づくふうでもなく、
彼はその部屋から見える景色に釘付けだった。

扉の隙間から射していたのは、沈みゆく太陽が発する光。

風景が乏しいこの砂漠の国の王の住まいは、
数すくない絶景を最高のかたちで演出できるようにつくられていた。



私は決めていた。



思いを告げるならここで。



あなたの金の髪がよく映える、この部屋で。




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