【青いイチゴ】
-P5-
私はこぼれる涙をごしごしとぬぐい、
彼の左腕をつかんでこちらに振り向かせた。
「・・・やっとお許しが出たね、プリンセス」
こちらを振り向いた彼はまぶしそうに目を細めて微笑み、
夕陽を浴びたその白い頬にまつげの影を落とす。
「好きです、サンジさん」
彼の目を見て言いなおした。
彼はこの告白が過去形じゃないことに気がついているかしら。
夕陽はどんどん傾いて、
向き合ってみつめあうふたりの影を長く、長く伸ばしていく。
泣いちゃだめ。
少しの沈黙の後、私はもう一度大きく息を吸い込んで、続けた。
「あなたは私と出会ったときからずっと、
彼女ばかり見ていましたね」
つまり私は、出会ったときからあなたを見ていた、ということ。
泣いちゃだめ、続けて。
「彼女を見つめるあなたを、私は好きになったんです」
「・・・だから、答えはいりません」
「私に振り向くあなたなんて、好きじゃないもの!」
私はうまく、笑えてる?
なんて卑怯な告白なんだろう。
だけど、出口のないこの想いだから、
少しくらい卑怯なほうがいいの。
少しくらい、あなたを苦しめるくらいで、いいの。
「ずりィな、ビビちゃん」
彼がやわらかく眉を下げる。
「おれもう言うことねェよ」
「それでいいんです。私も、もう言うことはありません!」
今度は自然と笑みがこぼれる。
そんな私を見て彼はますます眉を下げ、
唐突に私の腕をひいた。
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