【フロリゲン】
-P2-
「あら?ルフィがいないわ!」
「男は急に消えるものなの!?」
「わからないけど、ここにいないならきっと外ね!!」
「「ルフィ〜〜〜!!」」
宴会場にいた大多数の人間が外に飛び出すと、
天井裏で様子をうかがっていた私と男はそろそろと部屋の隅の薄暗がりに降り立った。
「まったく…!なんでいつも私を“巻き取る”んだ!!」
「いや、お前色々と詳しそうだから抜け道でも知らねェかと思って」
「だからってもっとやりようがあるだろう!!」
思わず声を荒げると、
部屋に残って飲んでいたひとりがこちらを振り向いて、
あっと声を上げすぐに外に向かって走りだした。
「まずいっ!あいつら呼びにいったんだ!!」
「そうだろうな」
「おい、どっか落ち着けるとこねェか!?
こんなんじゃゆっくり飯も食えェから、食いもん持って移動する!」
「そうね…それじゃ、あそこに…」
そのとき宴会場の大扉が勢いよく開かれ、
けたたましい叫び声とともに人がなだれ込んで来た。
「「ルフィー!どこなのー!!」」
大勢の嬌声を背に男は、今度は巻き取りはせず、
声を上げる間もないほどすばやく私を横抱きにして再び天井裏に舞い上がった。
顔がほてる。
また、涙腺がゆるむ。
私はどうかしてしまったのだろうか。
男が触れる部分全部が痺れて熱を持ち、
やたらと息が吸いづらい。
昼間は平気だったのに、
こんなふうに意識してしまうのは情が移ってしまったから?
ニョン婆様から闘技場での一部始終を聞いてから、
この男のことばかり考えているような気がする。
だって私は本当に驚いたんだ。
あなたは自分の利益より、迷いなく私たちを助けることを選んだという。
そして私は知ったのだ。
誰かに“選ばれる”ということが、
こんなに嬉しいことだって。
もはや“情が移った”なんて言葉では片づけられないほどの速度でうつ胸の鼓動は、
私になにかを訴えかけているようだった。
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