【花火花】
-P6-
これまで、お酒が“忘却の水”だったように、
セックスは“無為の行為”だった。
今日、それが、意味を持とうとしている。
瞬間、目が合ったかと思うと、
すぐに首元にかぶりつかれた。
彼の熱い舌が、唇が、首筋をなぞる。
「んぁ・・・」
それが耳まで届いたとき、
今度ははっきりと発音される、私の声。
自分でさえ初めて耳にするその声は、
切なさを含んでいて、すごく恥ずかしい。
だけど、サンジ君の息遣いは、
私が声を出すほどに荒くなってゆく。
「・・・ぁ・・・」
彼の手が、背中からTシャツの中に入る。
かさかさで、大きくて、料理人の手だ。
その手が、ゆっくりと前にまわる。
ひと際高い声が出そうになったとき、
再び口を塞がれた。
もっと、上手にするんだと思ってた。
だけど私は、あふれて、はじけてしまう。
その動きに、ついてゆけない。
私はまぶたの奥に何度も何度も火花を散らし、
彼は私を花火みたいだという。
熱ィ、と。
冷静な振りをして答えを返したけど、
今、あなたとなら散ってしまってもいい、
私はそう思ってたんだ。
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