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「神父様、懺悔をしたいのだけど」
緋色の光を纏って聖堂に入って来た女は、
入口付近にたたずんだままあたりまえのように言った。
逆光で顔は見えないが、声からしてまだ年若い。
「申し訳ありません、もう時間を過ぎていまして」
男は目を凝らして女の顔を確かめようともせずに、そっけなく告げた。
「あら、神様に刻限があるの?
そんな話聞いたこともないわ」
たしかにいつもならどんな時間でもここに自分がいるかぎり、
迷える子羊たちの告解を聞いている。
しかし男はこの不吉な予感に、
そう告げざるを得なかった。
この者に関わってはいけない。
神のお告げならぬ、死者たちの警告だろうか。
男はそれを聞き入れることにした。
「そう申されましても、ここはもう閉めてしまいますので」
「そう」
女は返事をしたにも関わらず、
つかつかと聖堂に踏み入って来た。
「そこな方、困ります」
男が少し慌てて女に近づくと、
今度ははっきりと女の容貌が確認できた。
真っ白なナース服を窮屈そうに身に纏い
オレンジ色の髪をしたこの美しい女を、
男は知っていたし、
女は男を知っていた。
知っているから、ここへ来たのだ。