【スティル・グリーン】
-P2-
ぐわっしゃあああああんん!!!
あの子が流れ着いたのも、
いつもどおりけたたましい音が鳴り響く
そんなかわりばえのない昼下がりだった。
「てめェら!仕事増やすんじゃねェよ!!」
「なんだとサンジ!!
どなた様のお陰様でおマンマ食えてると思っていやがるんだ!」
「「おれ様だろうが!!」」
最初に問いかけた副料理長のデュラムと、
その場にいた野郎ども全員が口を揃えた。
「・・・」
おれは口を開く気にもならず、
「おれ様だ!」「いや、むしろおれ様だ!!」
つーような、実りないやり取りを背に甲板に出た。
すっかり習慣になっちまった一服をしていると、
眼窩の波間に微かに揺れるかたまりが見える。
目をこすりよーく目を凝らしてみると、
それは今にも分解しそうな一艘の小船だということがわかった。
さらに目を凝らすと、中には人間が横たわっているようだ。
おれは深く考えずに、
小船に飛び降りた。
ただ、そいつは腹が減ってるに違いねェという
確信だけを以って。
小船はボロだったけど、
それを壊さずに降り立つ術くらい身に着けてる。
しかも降りる直前横たわっているのが女の子だとわかると、
おれはなおさら慎重に足先の力を抜いてそっと降り立った。
ほらな、壊れねェ。
その子は漆黒の長い髪を船どこに散らばせ、
その肌は海に色素が流れでていっちまったんじゃねェかってくらい、
白かった。
年はおれよりちょっと上くらいか・・・?
だけどこの子くらいなら抱えて船まで戻れるな。
そう考えたおれはその子を横抱きにして、
力いっぱい足を踏み出した。
・・・気づいたときには、船はばらばらだった。
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