【スティル・グリーン】

-P3-



おれはぶはっと水上に顔を出し、
続けざまに海中で捕まえた女の子を引っ張り上げた。

浮力を利用しその子を抱え、
形のいいおでこに張り付いた黒髪を
何度も後ろに流してやりながらながら呼びかけた。

「おい、おい、大丈夫か?
目ェ覚ましてくれー」

内心生きてるか死んでるかどきどきしてたけど、
本能がおれを冷静にさせ、決して声は荒げない。

「おーい・・・」

何度目かの呼びかけに、
やっとその子は反応を見せた。

長いまつげがゆっくりと上に動く。



おれはこのとき、すでに予感を抱いたんだ。

これから溺れるのは、
この子じゃなくおれだ、と。



長い黒髪から勝手に黒い瞳を想像してたけど、
薄く開けたその瞳の色は、

深い、深いグリーンだった。



その瞳は徐々に焦点を取り戻し、
ついにはおれをしっかりと捕らえた。

「あの・・・大丈夫・・・?」

ひとつも言葉を発せずおれを見つめ続けるその子に恐る恐る問いかけると、
沈んだ暗い緑色の瞳に、驚愕の色が加わった。



「王子・・・・・・!」



……そんなまさか…こんなとこで。

やめてくれ、勘弁してくれよ。

おれは、一瞬にして血の気を失い、
顔色を蒼白に変えた。




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