【スティル・グリーン】
-P23-
当初の予定では小船でこっそり出航するつもりだったが、
副料理長が一緒となれば話は別だ。
デュラムは遠出用のスクーナーを用意してくれた。
これなら寝床も確保できる。
「ところでサンジ、食料はこれだけか?」
「あ、そっか…二人分しか用意してねェや」
「それにしたって少ねェよ。サンリーフまでどんだけかかると思ってんだ」
「あ?だって買出し用の小船で3日くらいだろ?
この船だったら1日半くらいでついちまうんじゃねーのか?」
おれはもしものためにと多めに用意した、
1週間分の食料がぱんぱんに詰まった布袋を見やった。
「おいおいおいおい!おめーは航海をわかってねェーなー!!」
デュラムは広い額に手をあてがって、
大げさなそぶりでおれに言った。
「サンリーフに行く途中に海峡があるだろうが。
あの中心は大渦の名所ってことは知ってたか?」
「・・・知らなかった」
「よけて進むにはえれェ遠回りをしないとなんねェってことは?」
「・・・・・・知らなかったよ!!」
こいつはおれをガキ扱いはしねェが、
バカにはする。
・・・こいつも“エス”だな。
「あー!!ったくうるせェなクソ野郎!!
食料調達すりゃあいいんだろ!?」
おれは甲板に飛び戻り、あたりをぐるりと見回した。
そしてちょうど朝の散歩中だった“やつ”と目が合った。
「・・・ちょうどいい、一緒にこい」
にやりと口の端をあげたおれをみて、
“やつ”は目玉を泳がせた。
「お前は非常食だ!“トサカ”!!」
バラティエの大事な栄養源である超ニワトリの
その名も“トサカ”は、コケーッと叫んで反転し、
羽を撒き散らしながら走り出した。
「あ!待て!お前は卵も産むし航海にはちょうどいいんだ!
それにいざってときには・・・」
おれの大声に一瞬振り向いたトサカの、
変わるはずのない顔色が青ざめたように見えた。
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