【スティル・グリーン】

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当初の予定では小船でこっそり出航するつもりだったが、
副料理長が一緒となれば話は別だ。

デュラムは遠出用のスクーナーを用意してくれた。
これなら寝床も確保できる。

「ところでサンジ、食料はこれだけか?」

「あ、そっか…二人分しか用意してねェや」

「それにしたって少ねェよ。サンリーフまでどんだけかかると思ってんだ」

「あ?だって買出し用の小船で3日くらいだろ?
この船だったら1日半くらいでついちまうんじゃねーのか?」

おれはもしものためにと多めに用意した、
1週間分の食料がぱんぱんに詰まった布袋を見やった。

「おいおいおいおい!おめーは航海をわかってねェーなー!!」

デュラムは広い額に手をあてがって、
大げさなそぶりでおれに言った。

「サンリーフに行く途中に海峡があるだろうが。
あの中心は大渦の名所ってことは知ってたか?」

「・・・知らなかった」

「よけて進むにはえれェ遠回りをしないとなんねェってことは?」

「・・・・・・知らなかったよ!!」

こいつはおれをガキ扱いはしねェが、
バカにはする。

・・・こいつも“エス”だな。

「あー!!ったくうるせェなクソ野郎!!
食料調達すりゃあいいんだろ!?」

おれは甲板に飛び戻り、あたりをぐるりと見回した。

そしてちょうど朝の散歩中だった“やつ”と目が合った。

「・・・ちょうどいい、一緒にこい」

にやりと口の端をあげたおれをみて、
“やつ”は目玉を泳がせた。

「お前は非常食だ!“トサカ”!!」

バラティエの大事な栄養源である超ニワトリの
その名も“トサカ”は、コケーッと叫んで反転し、
羽を撒き散らしながら走り出した。

「あ!待て!お前は卵も産むし航海にはちょうどいいんだ!
それにいざってときには・・・」

おれの大声に一瞬振り向いたトサカの、
変わるはずのない顔色が青ざめたように見えた。




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