【スティル・グリーン】
-P25-
「あいつの・・・嫁さんが殺されたときからだ」
「・・・!」
おれとヒメウは言葉を失い、
ただただデュラムの話に耳を傾けた。
「あいつは全クルーのリーダー的な存在だった」
デュラムは、まあおれを除いてだが、と間に挟み続ける。
「先頭きって、ときには無茶な戦い方もしてきていた。
あの風体だろ?目立つんだよな・・・
やられたやつらのうらみはつらみは、
いつも全部ルッコに向けられていた」
「そしてあるときおれたちの船は、あいつの嫁さんが住む島に停泊した。
あいつは何だかんだいって、嫁さんを愛していたから喜び勇んでたよ。
だけど・・・久しぶりに家に帰ったあいつが目にしたものは・・・」
「・・・・・・地獄だった」
「壁には、血で書かれた大きな“ざまあみろ”の文字」
ヒメウが、はっと口元をおさえる。
「ルッコはいっきにすべてを悟り、
船に3日間帰ってこなかった」
「だけど、帰って来たときにあいつは・・・笑顔だった」
「えがお・・・?」
「ああ。そして・・・もう戦闘はできないと言った」
「もう人を傷つけることも、傷つくこともいやだと。
おれだけに事情を話してくれたのは、
船長であるおれからクルー達に、
ケガをしてもう戦えないと嘘の理由を伝えてほしかったからだと思う」
「・・・実際ケガァしたのは、体じゃなくて、心だったんだがな」
唸るように言った、デュラムの言葉が重たい。
「おれはうなずき、これからは、
無茶な強奪はやめよう、ひとつのことに集中しようと言った」
「“オールブルー”をみつけることだけに」
「あいつが笑顔だった意味がわかるか?サンジ」
おれは黙ってかぶりを横に振る。
「あいつは仮面をつけたんだよ。
笑顔という名の鉄仮面を」
「昼間はクルーに心配をかけまいと仮面をかぶり、
日が落ちて、辺りが闇に包まれると、
あいつは仮面を剥ぎ取っていた。」
「深夜あいつに遭遇したことがあるが、見ていられなかったよ・・・」
そう言ってデュラムは顔面を殴られたみたいな表情をした。
「ルッコは確かに夕日が大好きだった。
本当の自分になれる静寂の“夜”の合図だからな」
「それからおれらの船はもともとコックの集まりだったこともあり、
一致団結決意新たに、幻の食材を求めオールブルーを探す旅をはじめたんだ」
「・・・そうか・・・」
おれはやっとの思いでつぶやいた。
ルッコ・・・
あのとき夕日の話を笑ったおれを、
許してくれな?
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