【スティル・グリーン】
-P34-
ロクサーヌとアパレシタは幼馴染で、まだ18だという。
若い二人は屈託なくおれたちに絶望を告げた。
「マシコさんなら昨日、リリースクに旅立たれたそうよ」
「そんな!き、昨日!?」
おれはこれから楽しいディナーだというのに、
待ちきれずマシコの行方をたずねた自分を呪った。
おまけに出港日なんて聞かないほうがよかった。
後悔の要因が増えるだけだ。
「早くねェか?マシコさんは死にかけてたんだろ?痛てっっ!!」
「言葉を選びなよ、デュラム」
テーブルの下でラビオがデュラムの足を思いきり踏んずけたようで、
デュラムのでかい目から涙がひとつぶこぼれた。
「いいんです、ラビオさん。ああでもよかった、
やはりここにいた女性は母だったのですね!それで、母の容体は…」
ヒメウが恐る恐るたずねると、ロクサーヌは申し訳なさそうな顔をする。
「ええ、確かに名を“マシコ”と言ったそうよ。
だけどごめんなさい、私たちも客船でこちらに戻ったのが昨日で詳しい容体までは…」
「そうですか…」
「でも、人づてにだけど成り行きは調べたのよ?」
「本当ですか!?」
「ええ。大まかで悪いんだけど」
期待に添えなかったらごめんなさい、
と付け足してアパレシタが話し始めた。
「彼女…マシコさんの容体は日に日に回復していって、
出発前日にはお一人で準備をなさっていたそうよ?」
「そうですか、よかった」
ヒメウがほっと息を吐く。
「ただ、やはり一度心臓が止まったんですもの、
万全とまではいっていなかったみたい」
「それでも、彼女は早急な帰国を希望されたらしいわ。」
「なぜなんです?」
デュラムが先を急ぐと、アパレシタは少しためらいがちに続けた。
「リリースクの…悪い噂を耳にしたみたいで。」
悪いニュースはもうたくさんだ。
おれは耳をふさぎたくなった。
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