【スティル・グリーン】
-P35-
「「クーデター!?」」
悪いどころじゃない!
おれたち4人は身を乗り出した。
「ええ…彼女はリリースク国王家の侍女なんですって?」
「そうです!それで、クーデターとは…?」
「彼女が目を覚ましてからしばらくして
ノースブルーから来たという商人から聞いたらしいのだけど、
リリースク国内で王家の独裁を終わらせようという動きがあって、
市民をも巻き込んだ暴動に発展しているらしいのよ」
「そんな!私たちが国を発ったときにはなにも…」
「世界を旅しているその商人の話によると、
どうやら国外の“ある組織”の手引きによって急激に運動が加速したらしいわ」
「ある、組織…?」
おれとヒメウは口をそろえた。
まったく見当がつかない。
リリースクの国政はそりゃあひどいもんだったが、
独裁者のおやじから若いリュシカに王座がかわろうとしている、
これからだっていうときに…!
「市民も起った、か…
そりゃ心配でいてもたってもいられなかっただろうよ。
それでマシコさんは急いで帰国を決めたんだな?」
デュラムが確かめるようにアパレシタの顔を見て言った。
「そのようです。
運よくノースブルーを周る船があったようで、
船で働きながらでも一刻も早く国に帰りたいと…
同じく侍女をしている娘が先に戻っているかもしれないから、と」
アパレシタが語尾を小さくして言うと、
ヒメウは両手で顔を覆って、わっと泣き出した。
おれはかけよって抱きしめてやりたいと思い腰を浮かせたが、
少しのためらいのうちに隣に座っていたデュラムがヒメウの頭にごつい手を乗せて、
なでるというにはちょっと乱暴なくらいにその真っ黒な髪をかきまわした。
そうするとヒメウはすぐに泣くのをやめて顔をあげ、
唇をぐっと噛みしめる。
いつも真っ赤なその唇は、血の気を失って皮膚と同じ色だ。
こんな状況でも強くあろうとするヒメウの姿勢に、
おれは胸を狭くした。
おれは、彼女を抱きしめて慰めてやることすらもう、ためらっている。
おれはなんなんだ…おれは…
「それはクーデターと言うより…革命だね」
本当だったら笑い溢れていたはずの広い食堂に、ラビオの声がむなしく響いた。
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