【スティル・グリーン】

-P36-



「確かにそうね。国民を巻き込んでいるのだもの」

ロクサーヌがうつむき気味に口を開く。

「しかも商人のおじさんが言うには、その組織のリーダーは“革命家”を名のり、
世界政府加盟国に狙いを定めているそうよ」



なにが……



「なにが…ッ」

「なにが“革命家”だよ!国をたたくってことは、国民も同意だ!
罪のない市民を巻き添えにしておいてなにが偉そうに“革命”だ!!」

「サンジ君…」

「サンジ、落ち着け。
国が心配なのはわかるが…」

「あら、サンジさんもリリースクのご出身なの?」

おれをなだめるように発したデュラムの言葉に、
アパレシタが反応する。

「え…ああ、まあ」

あいまいに返したおれに、アパレシタが少し怪訝な表情になった。

流れた空気を変えようと、ヒメウが少し早口で割って入る。

「確かに前王の独裁はひどいもので、
王が亡くなる直前は毎日のように見せしめの処刑が行われていました」

「な…そんなことに!?」

おれは自分が去った後の故郷の情報をとことんシャットアウトしてきたことに対して、
今さらながら悔恨の念にかられた。

「ええ、それは目も当てられないものだったわ…
だからきっとその組織は何らかのかたちでひどい国の状態を知り、
加盟国の中でも特に目立つ絶対王政下にあったリリースクを狙ったのかもしれません」

「見本のような暴君の支配下にあったリリースクを落とせば、
きっと賛同者も増えるでしょうからね」

アパレシタが同意する。

「ええ、だけどそれだけじゃない。
その組織は、もっと深い国の内情を知っていたんだと思います」



「“スパイ”がいた、ということかい?」



そしてラビオが発した言葉に一同ははっと息をのんだ。

「そうかもしれません…いえ、きっとスパイはいたのでしょう。
そうでなければ“このタイミング”でクーデターを仕掛けたりしないと思うから」

ヒメウは納得したような表情を見せながらも、
そうであってほしくないと祈るような口調だ。

「と、言うと?」

続きを促したデュラムではなく、
ヒメウはおれのほうを一瞥して、
少しためらいがちに口を開いた。

「第一王子のリュシカ様が“兄君”の行方を探して、
王位継承をためらっているこの今のタイミングで、ということです」

「あ…」

おれは思わず声をもらす。

「王座が空席で国政が不安定な今は、
誰が見たって絶好のチャンスです」

「だけど、そんな内情はリリースク国民…
それも、より王宮に近しい人物にしか知りえないことだと思います。
だからスパイは本当にいるのかもしれません」

ヒメウはそこまで一気に告げて、
あからさまに肩を落とした。

「兄君…ね」

今度はデュラムがおれを一瞥して、
魂が出ちまんじゃないかってくらい深くて長いため息をついた。




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