【スティル・グリーン】

-P5-



親父が、死んだ。



うまく回らない頭と言葉の回路を無理やりくっつけ、
おれは質問を続ける。

「死因は?」

「足を滑らせて階段を転落なさって…
即死でした」



「楽に死にやがって…クソ!」

もうちょっとで声に出ちまうところだった。

ヒメウに気を使い、
毒は自分の腹の中に吐き出す。



ヒメウはそんなおれの様子に気づくことなく、
ベッドの上でこちらに向き直り、続けた。

「王子、私たちは王太子・・・
弟君の命を受けて出航いたしました」

「リュシカの・・・?」

「左様です。
リュシカ様は王亡き今、正式な王位継承者だというのに、
その座を受けかねておいでです」

「なぜ」

「恐れながら、王子の存在のためかと」

ヒメウは、強い口調で言った。

だけどその口調とは裏腹に、
夜の海みたいな色の瞳はその海面に波を立てるかのように、揺らいだ。

「私たちも同じ気持ちです」

「ですから危険を顧みず、王子を探す旅に出ました」

「お願いです、王子。
一度リリースクにお戻りいただけませんでしょうか!」

語尾は叫びに近かった。

だけど・・・

「・・・無理だ」

「王子!!」

そんな目で見ないでくれ。

そう思ったとたん、ヒメウの瞳は決壊し、
おれの布団はその雫を吸いとってゆく。

思わずおれはヒメウの頬に手をやり、
何も言わずに涙をぬぐってやってた。




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