【夢から覚めた夢】

-P3-



「サンジ君・・・泣いてるの?」

「なっ泣いてなんかねェよ!」

さっと立ち上がり、後ろを向きながらそう言った彼が、
その隙にスーツの袖で目をこすったように見えた。

「・・・自分でもびっくりしてんだ。
ナミさんが、ケ・・・ケツ・・・ケツ・・・」

「ちょっと誰がケツなのよ!!
結婚!?って言いたいの!?」

「そう、それ。口にも出したくなくてさ」

「はァ・・・で?」

「誰かに奪われちまうと思ったとたん、
自分でも信じられねェくらいの
怒りがこみ上げてきたんだ」

「そんで改めて気付かされた」

「おれは、ナミさんを・・・」



・・・



おかしい・・・さっきから。

彼の声がだんだん遠ざかってゆく。

呼吸もし辛くてしょうがない。



その時、やっとこっちを振り向いた彼が叫んだ。

「ナミさん!?」

薄れ行く意識の中で、横倒れに崩れ落ちる私を
彼が抱きとめるのがわかった。



* * * 



「・・・さん。ナミさん」

やさしく呼ぶ声でふと意識を取り戻した。

手足の先がひどく冷たい。

「よかった・・・!ナミさん、過呼吸だよ」

「・・・か!?」

と、叫びかけて吐き気をもよおした。

頭がくらくらする。

「平気?まだ辛そうだけど、
さっきと比べるとだいぶ呼吸は落ち着いてるからね。
安心してね」



・・・なんてやさしい響き、泣けてくる。

サンジ君の言葉が私の心に
するすると流れ込んでくる。



・・・過呼吸・・・

原因はわかってる。



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